2015年08月21日

ペキンパーとオルトマン

70年代に映画を見始めた者にとって、この二人の監督は特別な意味があるといいたい、サム・ペキンパーとロバート・オルトマン。いわゆるハリウッドのメインストリームに反発したために辛酸をなめたような反逆児的フィルムメーカーの両監督ですが、この二人誕生日がほとんど同じ。ペキンパーが25年2月21日でオルトマンが同じく2月20日なんですね。それはともかく、この二人のドキュメンタリー映画がこの秋、生誕90年を祝して日本公開されます。
ペキンパーの方は「サム・ペキンパー 情熱と美学」(9月26日公開)というタイトル。オルトマンは「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」(10月3日公開)という長いタイトル。ちなみにこの文章ではスクリーン表記でオルトマンにしておきます。映画を見るとオルトマンと発音している人とアルトマンと言っている人が出てきますが、どちらかというとヨーロッパ読みがアルトマンに近いかな。ともに軍隊から除隊してハリウッドで仕事をするようになり、最初はその才能を認められ、徐々に表舞台に出てくるのですが、やがてハリウッドのやり方に反発。独自の道を往くようになるという生き方がほとんど同じで、改めて驚きます。しかしオルトマンは最終的にハリウッドで尊敬される晩年を迎えますが、ペキンパーは自滅してしまう。そのあたりがこの二人の大きな違いでしょうか。ペキンパーはアルコールと薬に溺れてしまい、周囲から煙たがられる性格も災いしていたかも。それに比べるとオルトマンは心臓病を患って、スランプはあれど周囲に愛され、まともな人生を送ったのだと、この2作を見比べるとよくわかります。しかも「ハリウッドに嫌われ」といってもオルトマンはオスカーに五回もノミネートされている時点で、もう愛されているといっていいでしょう。カンヌではパルムと監督賞も取っているし。ペキンパーなんて監督賞では候補にすらなっていないし、再評価されることもなかったし。
この二つのドキュメンタリーの仕上がりを見ても、オルトマンはフィルモグラフィー用にきちんとしたフィルムを使用しているけれど、ペキンパーはどこからこれを借用してきたの?といいたいほどの劣化した(あるいはダビングのダビング?)フィルムを使っているのも泣かせる。どうもこれはビデオ用に撮影したらしいですね。ただ関係者インタビューはどちらも錚々たる顔ぶれをそろえているのですが、オルトマンの方が(ほとんど)一人一言なのに対し、ペキンパーの方が撮影中の裏話など、それぞれを長めに使っているのがうれしいです。どちらにも登場する俳優もいて、ジェームズ・カーンとロバート・デューヴォールはペキンパーの方では「キラーエリート」で、オルトマンの方では「宇宙大征服」に登場(デューヴォールは「マッシュ」にも)。こういう共通点を見つけるのも楽しいですが、二人のプライベートフィルムなどを見られるのも大きな特典。パリに移住したオルトマンを友人の俳優たちが訪ねていくシーンなど大変珍しいです。
個人的にどちらの監督も大好きで、ペキンパーは「ワイルドバンチ」、オルトマンは「三人の女」がベストと思っておりますが、そんなことを抜きにしても60〜70年代の映画界を知っている映画ファンなら必見でしょう。できれば両方ともご覧になってください。
posted by 編集長 at 17:18| 日記

2015年08月16日

代官山へ

昨日もう十年くらい行っていなかった、代官山に行ってきました。
目的は代官山蔦谷書店で開催されているSCREENフェアの様子を覘くため。というのもあるんですが、この話題の蔦谷さんに以前から一度行ってみたいと思いつつ、まだ行ったことがなかったので。噂通り、本好き、映画好き、音楽好きにはたまらない空間かも。その辺の書店では手に入らないような書籍、雑誌や、音楽CDのレンタル、販売も充実。もちろん映画関連書もたくさんあり、レンタル・販売コーナーも他店の追随を許さない品数で圧倒されます。さらにカフェなども併設され、一日過ごせるくらいの店舗になっています。私は時間に余裕を持たずに行ったので、駆けずり回ってフェアのコーナーを見つけ、確認した程度で出てくる羽目になりました。
なぜ余裕がなかったかというと、せっかくそちら方面に行くならと、その帰りに恵比寿ガーデンに行って、新装開店したYEBISU GARDEN CINEMAにも寄ることにしていたから。こちらもこの間、テリー・ギリアム監督の撮影で館内を使わせてもらったものの、映画を見るのは初めて。とにかくシートがゴージャスです。映画は試写で見逃してしまった「さよなら、人類」を鑑賞。ロイ・アンダーソンらしい世界がたっぷり味わえる異色作で、上映後きょとんとしている観客も多かった様子。あまり普遍的におすすめできる映画ではないんですが、私はここまで追いかけて見ておいて良かったと思いました。
ということで昨日はなんだかオサレな一日になってしまいました。
posted by 編集長 at 19:02| 日記

2015年08月14日

久々に試写2本立て

お盆真っ盛りで、都内のあちこちが空いている8月の今、久しぶりに試写の二本立てをしてきました。
どちらも肩の凝らない娯楽作で、しかも同じ試写室での連続上映なので移動の必要もなし。ということで、最初に見たのが「カリフォルニア・ダウン」。5月に全米と同時公開予定だったのが、急に延期になったパニック大作です。たしかにこれは日本国民にはちょっと大々的に宣伝しにくい内容ですが、未公開にするにはちょっともったいない大作。その宣伝しにくいテーマはご承知のように、人類史上最大の大地震直撃と津波。カリフォルニア地区を通るサンアンドレアス断層という名前を聞いたことがある方もいるでしょう。これが大きく崩れたことによって、未曽有の大地震が西海岸を襲うのですが、主役はドウェーン・ジョンスンなので、さほどハラハラすることありません。しかしながら、崩れていく街並みや津波に飲み込まれる大地の描写はCGとわかっていても、東日本大震災を思い浮かべない訳にはいかない描き方で、どうしてもデリケートな宣伝展開になるでしょう。たしかに見ているこちらも素直にハリウッド大作だからと100%純粋に楽しむことは難しかったかも。ただ映画に罪はないんですけどね。
もう一つはホラー「死霊高校」。全米ではこの夏スマッシュヒットした作品。ですがこのところ流行の自撮り映像による「パラノーマル・アクティビティ」系なので、ちょっと食傷気味。なぜか心霊現象?に襲われる被害者が、絶妙のアングルで自分が怖がっていたり、殺されたりする様子を撮影し続けるという展開は途中から無理が感じられるんですよね……でも80分くらいの上映時間というのは良識的。
ちなみに「カリフォルニア…」は9月12日、「死霊高校」は8月22日から全国公開です。
posted by 編集長 at 18:53| 日記

2015年08月02日

加藤武さん急死

昨日、俳優の加藤武さんが急死したというニュースを見て驚きました。特に持病もなく、スポーツジムのサウナで突然倒れたとか。熱中症とかも怖いですが、高齢の方のサウナも気を付けた方がいいですね。歳をとってくると自分が熱いのか寒いのかもよくわからなくなってくるらしいので、いつの間にか限界を超えていたのでは……
ともかく残念ですが、加藤さんといえば、まず「犬神家の一族」など金田一幸助シリーズの警部が思い浮かぶか、「悪いやつほどよく眠る」などの黒澤明監督作品とか、文学座代表とかを思い出す人も多いでしょう。でも私の場合、「警部マクロード」のクリフォード部長(の声)なんですよね。実はその前日、ちょうどレンタルDVDで「マクロード」を借りてきて見ていたんです。「空中追跡SOS!」という回だったんですが、ためしにクライマックスのシーンでアフレコしていないオリジナルのバージョンも見てみたんです。すると全然印象が違う。マクロード役の宍戸錠さんとクリフォード役の加藤さんの絶妙なセリフのやり取りは、アフレコ現場で独自に作られたもののようです。もちろんアフレコ版の方がとっても面白いです。クリフォードの冷徹そうでいて人情家という人柄が、加藤さんの吹き替えでよくわかります。
そんなことに感心した次の日の訃報なので本当に驚きました。ご冥福をお祈りします。
posted by 編集長 at 18:10| 日記

2015年07月31日

千葉パルコ閉店

この間、多忙な中、足を運んだ某映画会社のプレゼンは、内容を書いてはいけないという例のお達しがあったので、面白いものをいろいろ見たにもかかわらず何も書けないし、しばらくブログネタがないなと思っていたら、『千葉パルコ閉店』だそうですよ。
昭和51年開店ということは、私の中学生時代。千葉市に住む当時の学生はほぼ全員、パルコのお世話になっているはず。たしかにオープンしたころは、先端文化の発信基地みたいな感じだったけれど、いまは……時々帰省するときに立ち寄ってみるんですが、あんまりお客さんいなかったし、仕方ないですかねえ。
それにしても今の千葉市は、駅横のそごうあたりから京成千葉の方にはまだ人がいるんですが、そんなに遠くないパルコ側には人がいないんですよね。パルコを越えた栄町なんてますます人影ないし。そんな事態が延々続いているんですが、一体いまの千葉市の住民はどこで流行とか文化の息吹を吸うんでしょう? 住民でなくなってからもう20年も経ってしまい、そのあたりの事情がよくわからなくなっているんですが、パルコといえば、我々の世代からすれば一つの象徴だったもんですよ。7階の書店(いまもある)には何度通ったことでしょう。催事場の中古レコード、古本市はたいてい覗いてみたもんです。
しかしあの巨大な敷地の跡には何ができるんでしょうか? パルコだけでなくあの一帯がますます閑散としてしまわないことを祈ります。
posted by 編集長 at 17:46| 日記

2015年07月21日

1000号発売

おかげさまで本日、SCREEN 通巻1000号記念号が発売になりました。
2,3年前からもうすぐ1000号だな〜と薄々気づいていましたが、いざ時期が来てみるとあっという間でした。毎号毎号、今回は本当に発売できるんだろうか?などとお腹をきりきりさせつつ作っているので、1000号も他の号も生みの苦しみは変わらないんですが、特別な号になったと自負しております。
特に担当したSCREENの歴史コーナーは、できるだけ当時の雑誌をめくって、その時の編集者の言葉などを参考にしながら、この時代の映画界(または日本)はこんな状態だったのか、などと感心しながら作業を進めていたので、ついつい手が止まってしまうことも。本当に継続はひとつの力です。
さて読者の方には、疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。年に12回しか出ない月刊誌で1000号に達するには80年以上かかるのでは? SCREENはまもなく70周年なのでたしかに早いですよね。というのも通巻というのは、臨時増刊や別冊も一部含まれるからです。60〜70年代ころは私も知らない増刊が大量に出ていたらしく(西部劇特集号とか007特集号とか)、そのあたりも入っているので早いんですね。
そしてこの文章を書いている、まさにいま、いつもお世話になっている宣伝会社マンハッタンピープル(最近では「インサイド・ヘッド」などを担当)のみなさんが1000号記念のお祝いの花束を持参して来社してくださいました!(写真はツイッターをご覧ください)こうした皆さんや読者の方々の力で、1000号まで続けられたのだと痛感します。本当にありがとうございました!
posted by 編集長 at 12:15| 日記

2015年07月12日

意外なところでオマー・シャリフ

今日(日曜日)、会社に来る前に試写で見られなかった昨年のカンヌ、パルム・ドール受賞作「雪の轍」をようやく見てきました。寝不足なのに三時間越えの会話劇なんて大丈夫?と案じましたが、ぐいぐい引き込まれて、長さを感じさせない秀作でした。
そしてこの映画の途中で思いがけない名前が出てきました。昨日訃報をオンラインのニュースでもお知らせしたオマー・シャリフ。カッパドキアのホテルが舞台なのになぜ?という感じですが、ホテルのロビーにシャリフの写真が飾ってあって、客が『これオマー・シャリフ?』と尋ねると、従業員が『以前この近くにロケに来たときに撮影したもので、彼は大スターなのにとても謙虚だった』と答えます。そのロケ映画は「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」のことですが、カッパドキアから20キロも離れた街での撮影だったというオチもセリフに入っています。
だけどよく考えるとあんまり映画の筋と関係ないような気もするんですが、ヌリ・ビルケ・ジェイラン監督がよほどシャリフ・ファンなのか、それともあの飾ってあった写真は監督の私物なのか? どうしても挟みたかったのかもしれません。主人公が俳優という設定なので、入っていてもそんなにおかしくはないんですが、まさか彼の死んだ翌日、彼が出演しているわけでもない映画でその名前を聞くことになるとはびっくりです。
エジプト人のシャリフが、フランスに住むトルコ人の役を演じた「イブラヒムおじさん」は彼の晩年の代表作といえるかもしれません。当然「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」がすぐに頭に浮かぶけれど、思い起こせば「将軍たちの夜」とか「ジャガーノート」とか「マッケンナの黄金」とかいろんな映画に重宝された俳優だったなあといまさらながら考えたのでした。
残念なのは、校了日の翌日だったので、9月号のニュースに間に合わなかったこと。こういう事態って編集者にとって本当に“あるある”現象なんですよね……
posted by 編集長 at 15:44| 日記

2015年07月09日

上半期が終わっている…

いま通巻1000号の絶賛校了中です。もう、この数週間何も考えずこの号のことばかりやってきたので、いつの間にか今年の半分が終わっていました。
なんでそれがわかったかというと、今日の業界紙で、15年上半期の洋画ベストヒット10が載っていたから。あっという間に半年が過ぎていったなあ……ちなみにそのヒット作10本は1位が「ベイマックス」(興行収入91億円くらい)、2位が「シンデレラ」(57億くらい)とディズニーのワンツー・フィニッシュ。以下3位「ワイルド・スピードSKY MISSION」(34億)4位「イントゥ・ザ・ウッズ」(23億)5位「アメリカン・スナイパー」(22億)6位「ホビット決戦のゆくえ」(16億)7位「ナイトミュージアム エジプト王の秘密」(15億)8位「トゥモローランド」(14億)9位「ANNIEアニー」(14億)10位「ミュータント・タートルズ」(12億)という感じで、やはりディズニーがさらに2本入っています。下半期は「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」は絶対入るし、「インサイドヘッド」が当たったら(というか当たるけど)半分以上がディズニー印になってしまう……
そんなこんなを考えながら、1000号がもうすぐ終わります。大変なことになっている(はず)ので、読者のみなさんお楽しみに。
posted by 編集長 at 21:27| 日記

2015年06月26日

オズメント君に再会

「シックス・センス」「A・I」などで一世を風靡した天才子役、ヘーリー・ジョエル・オズメント君が、11年ぶりに来日。今回は新作「Mr.タスク」のキャンペーンですが、彼は主演ではないけど、話題作りにはちょうど適役ということでしょう。あの可愛かったオズメント君もいまや27歳の青年。TVで見た人もいると思うけれど、体系的にはぽっちゃりさんに(でも実は筋肉もついているらしい)なり、髭もはやしているので、こんなに変わった!と思われるでしょう。でも実際会ってみると、顔のつくりは幼いころのままだし、頭の回転が速いのも変わっていませんでした。
私は「シックス・センス」で初来日した時の彼に会っているので、懐かしい〜という感じ。新宿のホテルにインタビューに行くと、現われたオズメント君は、確かに太ったけれど、身長は低くて威圧感はゼロ。そして好青年。しかも『SCREENにインタビューされたことあるよ』と彼の記憶に残っているのでした。そんな彼はハリウッドでプチ再ブレーク中。『アントラージュ』という新作で演じた悪役が受けて、新作オファーが続いているんだとか。しばらく映画から離れていたのはニューヨークの大学で演劇を学んでいたから。しかも演出するほうの。そう、彼は監督になるのが夢なんです。なので俳優としてまた売れてきてどうしようか迷いつつも、仕事が好きだから演技を続けている模様。
結構時間があったので、ポケモンが好きだった昔の話をしたり、家族のことを聞いたり、リラックスしたインタビューでした。近いうちに彼の監督作も見てみたいですね。
posted by 編集長 at 20:57| 日記

2015年06月21日

スター・ウォーズ展

金曜の夜に六本木で「キングスマン」の披露試写会があり、見てきました。マシュー・ヴォーンが監督でコリン・ファースが主演ということ以外、あまり前知識を入れず見たんですが、ニュー「007」製造編という感じのスパイ・アクションでした。
言ってみれば金持ち集団がMI6を秘密裏に作っていて、新たなシークレットエージェントを生み出そうとするお話。ファースはマスターで、弟子役の新人タロン・エガートンが本当の主人公といえるかも。描写がマシュー・ヴォーンらしいので「キック・アス」をつい思い出してしまうのはご愛嬌。個人的にはだいたい内容は読めるけれど、最後までわりに楽しめる作品でした。
この映画が終映したのが9時25分くらいで、そのまま同じヒルズで開催中だった「スター・ウォーズ展」にぎりぎり飛び込みました。ほんとはもう受付終了だったのを、無理やり入れてもらった感じですが。以前目黒区美術館で開催された「アート・オブ・スター・ウォーズ エピソード3展」とはちょっと趣が違う感じで「SW」をモチーフにしたアート作品が美術品を思わせるものばかり。初めて見るものも多数。ルーカス・ミュージアム所蔵の衣装や小道具も結構近くで見られて良かったです。何より、時間が閉館間際だったせいか、客が少なくて、ぎゅう詰めにならずゆっくり見ることもできたし、ヒルズタワー52階のスカイデッキから見渡す夜景がゴージャスでした。私は滑り込みだったけれど、受付締め切り30分くらい前に行けば最高なのでは? ただしお土産コーナーをじっくり見たい人はもっと早く行く方がいいかも。ここだけは閉館まで超満員でした。
posted by 編集長 at 19:21| 日記