2016年06月26日

「ハリーとトント」

日曜出社前に『午前十時の映画祭7』で「ハリーとトント」を見てきました。今回は日本橋で見ましたが、実は2週間前に新宿でも見たので、今月二回目です。というくらい大好きな映画なんですが、今この時代に映画館で「ハリーとトント」が見られるというのは、『午前十時の映画祭』のおかげとしかいいようがありません。しかも4K! 映像に汚れが全くない状態で見られるのも奇跡的で、2回どころかもっと見ておきたいほどです。
新宿の時もほぼ満員でしたが、今回も空席は一つ二つくらい? 最初に日本公開されたのは「ジョーズ」が大ヒット中の75年末だったので、評論家ベストテンで1位になったものの、当時あまりヒットしたとはいえなかったのでは? それがなぜ今満員か? 宣伝部の方に聞くとやはり予想以上の集客だそうで、おそらく「猫ブーム」もあるのでは? と言っていました。トントのおかげだったんですね。
それにしても今にして素晴らしいと思うのは、70年代半ばのアメリカの空気感が非常によく描かれていること。特に寂れた感じのニューヨーク。『昔はロンドンのようだったのに』と嘆くハリーの独り言が要所要所でいい効果を上げているんです。またハリーの孫や途中で出会うジンジャーという少女のヒッピーぶり。彼らの目指すのはコロラドのコミューン。ベトナム戦争も末期になり、若者たちの夢が崩れていく様子も描かれているし、ハリーの娘(エレン・バースティン)が流行しかけの『ウーマンリブ』を象徴していたり、ラスベガスのステージで歌っているのは女性グループだったり、ハリーの元恋人や、長男の嫁など登場する女性がみんな当時の世相を見事に代弁しているんですね。シカゴやラスベガス、ハリウッドの街並みも今とは違って、貴重な映像資料といえそう。ハリーが車で大陸横断するルート66も今はもう閉鎖されたとか?
何度見ても発見のある映画こそ名作。もうTVやDVDなどで数えきれないほど見ていても、時を改めて見直してみるとまた何かしら発見がある「ハリーとトント」はまさに名作といいたいところです。 
posted by 編集長 at 16:28| 日記

2016年06月13日

四十九日

先月のブログで書いたように、SCREENの三代目編集長を20年にわたって務めた尾河照三氏の四十九日の法要が土曜日に行なわれたので、代官山へ行ってきました。お寺ではなく、奥様が入所されている施設の方で行なわれたのですが、ご親族のほか近代映画社のOBや、親しかった業界関係の方などが集まり、ようやく尾河さんにきちんとお別れができました。最初は存じ上げなかったのですが、息子さんが山口県の方で住職をされており、ご自身でお経も上げられました。なかなかない例だと思われます。ご家族や関係者の方に尾河さんのお話を伺って、いろいろと懐かしいことを思い出しました。ずっと忘れていたんですが、なぜかロッカーを共有させていただいていたんですよね。ロッカーを開けると尾河さんが愛用されていたコロン?のような匂いが立ち込めていたんですが、それはフランス製だったことを初めて伺いました。形見分けにネクタイもいただいて、アットホームな良い供養の場になったのではないかと思います。
まったりしたいところでしたが、そのあと毎月出演しているラジオ番組収録のため、TBSに直行。ご存知の方もいることでしょうが、「明日へのエール〜ことばにのせて」という番組内で月一の映画コーナーを担当させていただいています。これまで「銀幕のことば」というコーナーだったんですが、今月から「エールシアター」というタイトルに変わり、見た人の励みになるような映画を毎月一本紹介するということになりました。今月の放送日は6月25日21時からということですので、よければ聞いてみてください。
posted by 編集長 at 20:19| 日記

2016年06月04日

伝説のファイター、アリ死去

報道するメディアによって、名前の読み方が違っていますが、(SCREENでは)ムハマド・アリが亡くなったそうです。今朝最初にニュースを見た時「重篤」だったのがすぐに「危篤」になり、その直後に「死去」と、あっというまに表記が変わっていくので、こちらもびっくりでしたが。
アリといえば、私らが子供のころ、アントニオ猪木と闘った特別興行がとにかく印象的。我々世代にとっては史上最強のファイターでした。それこそ「ロッキー」が公開される前だったので、海外ボクサーといえばアリというのが当時の子供たちの常識みたいなもの。アリと猪木が戦った翌77年、「ロッキー」が日本公開されヒットしたせいか? アリ自身が自分の役を演じる自伝映画「アリ・ザ・グレーテスト」も同年公開されたんですよ。彼を取り巻く共演者が豪華で、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・デューヴォール、ベン・ジョンスン、ジェームズ・アール・ジョーンズなどハリウッドの演技派がずらりで、そっちの方が気になったくらいなんですが、ちょうど1年前くらいにCSでこの映画が放映していて、DVDとかも出ていないし懐かしいからつい見ちゃったんですね。後年ウィル・スミスがアリを演じる伝記映画も作られ、アカデミー賞候補にもなりましたが、やはり本人が演じているのはまた別の味が。カシアス・クレイ時代の葛藤なども本人が演じているとなにか説得力があるような気がしました。
ドキュメンタリー映画もいくつかあったと思うんですが「モハメド・アリ かけがえのない日々」というのが面白かったです。これはジョージ・フォアマンとの世紀の一戦をメーンにしていたはず。彼の人となりがよく出ていた内容だったと覚えています。それにスタローンが「ロッキー」でアカデミー賞に出席した時、ステージ上にアリが登場して、スタローンと「共演」?したりしたこともあったなあ。ともかくアメリカの英雄だったので、映画界にも縁がないようでいて、時折何かの映画イベントに出席していた記憶が残っています。
できれば「アリ・ザ・グレーテスト」がリバイバルとかソフト化されるといいのだけど。まずはご冥福をお祈りします。
posted by 編集長 at 17:23| 日記

2016年06月02日

久々のジョディー

6月10日から公開される「マネー・モンスター」のキャンペーンで、ジョディー・フォスター監督が久々に来日。先ほど六本木で行なわれたプレミア上映会の舞台挨拶取材に行ってきました。
8年ぶりの日本というから、私がやっと直にインタビューできた「幸せの1ページ」以来ということでしょうか。あれからもう8年か。それまで何度も記者会見では質問していたものの、面と向かってインタビューできたのは初めてだったので、それだけでも嬉しかったのに、『あなたは前に会ったわね』とジョディーが素敵な勘違いをしてくれて、ますます嬉しかったことを今も記憶していますが、今回は会見すらなく、イベント取材のみ。TVが舞台の映画だけあってか、TVインタビューがほとんどの様子。残念です。
それでも生ジョディーを見たくて行ったのですが、会場は満員というのに、日本の観客は本当におとなしく、行儀がいいですね。待っている間、ほとんど雑音がしないので、最前列で取材していた私は、本当に観客がいるのか何度も後ろを確認したほど。さすがにジョディーが入場した時には歓声が上がったけれど、彼女が話している間はじっとコメントに聞きいっているという生真面目なファンばかりでした。それで日本のファンは海外スターから評判がいいんでしょうね。
逆に言うとちょっと盛り上がりに欠けたけど、相変わらず知的な美貌を見せてくれたジョディーでした。次回はまたせめて会見くらいやってね。
posted by 編集長 at 21:19| 日記

2016年05月23日

カンヌ終了

この間始まったと思ったら、もう終わりだったんですね、カンヌ映画祭。昨日家に帰って、さあもう寝なくちゃと思いながらもテレビをつけたら、これから授賞式の生中継というアナウンスが。
あと1週間後と勘違いしていたので、びっくりしたんですが、考えてみればうちの7月号が出るころに発表があるんだなと確認していたから、あっという間にそんな時期になっていたんですね。いま毎日のように現地からレポートが送られてきているのに、不覚でした。
で、眠い目をこすりながら見ていたら、結果はなんとケン・ローチが2度目のパルム(題名は「アイ、ダニエル・ブレイク」)。今年はグザヴィエ・ドランじゃないかと思っていたし、下馬評もそんな感じでしたが、まさかあの“マッドマックス”ジョージ・ミラーが堅実なローチを選ぶとは(彼だけが審査員じゃないけど)。しかも内容はやはりローチらしく、英国の福祉制度を非難したもの。気になる映画ですが、正直またローチか……という気がしなくもないですねえ。
昨年から始まったパフォーマンス付のステージ構成は、まだ改善の余地があるかな。カンヌといえどもやはりアカデミー賞のようにはなかなかなれないですね。受賞の言葉も、誰も止める人がいないから、いつまでたってもしゃべりまくる人がいて、だんだん聞いている方がくたびれてくるし。
と、批判的なことばかり書いているようですが、やはり受賞者それぞれの作品にかけた感慨というものは熱く伝わってきました。おそらく通例として来年の今頃、こうした受賞作が日本でも見られるのでしょう。期待しています。
posted by 編集長 at 14:38| 日記

2016年05月16日

三社祭終了

昨日までの祭囃子のにぎやかさが嘘のような、いつもの穏やかな朝を迎えた地元・浅草。そうです、昨日までは恒例、三社祭一色だったんです。ここのところ毎週末、観光客でごったがえしているけど、この日だけはまた特別なにぎわい。連日ここを訪れる膨大な外国人観光客がかすむくらい、地元の浅草っ子がこの町を取り返したような三日間になるのです。そういう意味ではこの週末は浅草にとって、隅田川花火大会よりも正月よりも一年で最も特別な日々かも。
でも昨日も界隈を歩いていて少しさびしかったのは、かつてのような猥雑なパワーが薄まったかな?ということ。よくいえば行儀よくなったという感じで、健全なお祭りになってきた印象なんですが、もとはもっと抑えきれないようなパワーを感じた祭でした。全身の刺青を見せる人も、お神輿に乗りあがる人もあまりいなくなり(公序良俗に反するということでしょうか?)、ある種の「危ない」というドキドキ感が無くなってきたと思ってしまうのは、ここに長年住んできた者の単なる贅沢なノスタルジーでしょうか。
posted by 編集長 at 16:15| 日記

2016年05月11日

今年もカンヌの季節

ようやく7月号が校了し、ほっと一息。と思うと、いつものカンヌが始まるんですね。
オープニングのウッディー・アレンとかは別にして、今年のコンペ作の監督の顔ぶれを見ると、またもやダルデンヌ兄弟とか、ケン・ローチとか、常連の名前がずらり。ほかにジム・ジャームッシュ、パク・チャヌク、オリヴィエ・アサイヤス、ペドロ・アルモドヴァル、アスガー・ファルハディ、クリスチャン・ムンジウなどまたか、という人々が多いですが、今年はグザヴィエ・ドランがいよいよパルムかという噂が有力のようですね。いつもベテランばかりなので、若い力に目をむけるとすると、彼ぐらいしかいないのがこのところの映画界。ほかに面白そうなのはポール・ヴァーホーヴェンとかショーン・ペン、ニコラス・ウィンディング・レフンあたりが獲るのもいいかも。
クロージングはスピルバーグの「BFG」になるのかな?他にも誰がレッドカーペットをにぎわすのか興味深いです。 近々カンヌ現地レポートもオンラインニュースでスタートする予定ですので、お楽しみに。
posted by 編集長 at 17:01| 日記

2016年05月06日

黄金期の編集長逝く

私がスクリーンを読み始めたのは中学1年のころですが、当時の編集長をしていた尾河照三さんが5月1日に亡くなっていたことを、連休明けの今日知りました。
尾河さんは65年から86年までの長きにわたって編集長をされていたのですが、それ以前の記者時代からスクリーン黄金期をずっと支えてきた存在であり、私がここに入る時に面接をしてくださったのがその尾河さんでした。まあ私がこの業界に入るきっかけを作ってくれた方です。ほどなく編集長を退任してしばらく専務として会社に残られていたのですが、数年後に退社して評論家として活動されていました。たまに試写室でお会いすると声をかけていただいたり、激励してくださったり。最近まで毎号新刊が届くとわざわざ電話で元気な声であいさつをしてくださっていたのですが、昨年の夏ころから突然その電話が無くなって、ご体調を崩されたのかな?と心配していたところでした。
自宅で倒れてそのまま…ということしかわかっていないのですが、享年88歳。映画を愛し、映画ファンに夢を与え続けてきた生涯だったのだと思います。
感慨もひとしおですが、まずはご冥福をお祈りいたします。
posted by 編集長 at 21:23| 日記

2016年04月28日

10連休?

なんかさっきネットを見てたら、世の中は明日から10連休もするとかなんとか。そんなに休める人がいるんですねえ。もう30年も普通のGWなんて経験していないので、どこかよその星の出来事にしか思えませんが。
ということで、まだまだ絶賛仕事中のスクリーン編集部。私は先週末からなぜか声がうまく出ません。風邪を引いたのかなと思っていたら、熱は出ないし、のども痛くない。病院が長い休みに入る前に近所の内科に行ってみたら、耳鼻咽喉科に行けと言われました。あちこち行っている暇がないので、何か薬を出してくれと掛け合ったら、抗生物質を出してくれて、なんとかちょっと声が出るように。でもまだ全然普通じゃない!
こういう時に限っていつも体の具合が悪くなったりするんですよね。連休狭間の5月2日はどこかの病院はやっているんだろうか…?
posted by 編集長 at 21:05| 日記

2016年04月22日

「パープル・レイン」とか

今朝がた、アーチストのプリンスが急死したと聞いて、またびっくり。先週くらいにインフルエンザかなにか急病で静養中とかいうニュースを見たような気が……とふと脳裏をよぎりましたが、まさか死去するとは。たしかマイケル・ジャクスンとかマドンナと同世代だったんですよね。詳しくなくてすいません。
ただ死因は例によって現在よくわからないという状態らしいですが、57歳の若さで死んでしまうということは、何か特別な理由があるはずですよね。どうして音楽業界はこう(発見当初)原因不明で早死にする人が多いのか……マイケルといい、ホイットニー・ヒューストンといい。
特に詳しくもない私がプリンスと言って思い出すのは、やはり「パープル・レイン」でしょう。日本では85年に公開された映画ですが、インパクトはすごかった。デビューはとっくにしていたはずですが、ほとんど何も知らなかった私はポスターを見て『この(インパクト大な)人なに?』と思いつつ、すぐに覚えてしまったほどだし、当時ヒット洋楽といえばパープル・レインだったんですよね。そのあとすぐくらいに「アンダー・ザ・チェリームーン」もあったし。でも90年くらい?にいきなりプリンスのアーチスト名をやめて、名前を誰も読めない記号にしてしまった時にはぶっ飛びました。これはマイケルもマドンナもできない業だ!と。
まあ誰も追いつけない孤高の世界の人という印象だったんですが、やはり早逝してしまったんですね。ちなみにウィル・スミスは亡くなる前日に彼と話をしていたとか。今後も様々な逸話が限りなく出てきそうな感じです。ご冥福をお祈りします。
posted by 編集長 at 19:37| 日記