2017年01月26日

アカデミー賞ノミネーション

ちょっと書くのが遅くなりましたが、アカデミー賞ノミネーションをオンタイムで見ていました。例年のようにどこかのホテルに早朝から(現地のこと)記者を集めて、協会会長が登場して何人かの俳優に候補を手短にアナウンスする方法をやめて、ストリーミング映像のようなものを一斉配信する形になり面食らいましたが、この候補を発表後すぐにまとめて一覧にする作業の対処が、いずれのメディアも大変だったようで、アカデミー賞の公式サイトでも一時間違いが発生したようです。私もある程度、目安を付けて予想を書き出しておいて、そこから削ったり、付け足したりの作業が結構大変でした。
「ラ・ラ・ランド」が14個もノミネートを受けたのはちょっと意外でしたが、やはり本命ということでしょう。なんというか、現実の人生はなかなかうまくいかないものだけれど、それをかなえてくれるのが虚構の世界を描く映画の素晴らしさなんだというラストが、いかにもハリウッドが歓迎しそうなテーマで、それをすごくうまい形でミュージカルにした本作のデーミアン・チャゼルはさすがという感じ。
しかし対抗馬「ムーンライト」も素晴らしいんですよ。見方によってはLGBTものと言えなくもないんですが、一人のマイノリティーの少年が自分は何者であるかを発見し、それを受け入れていく過程を綿密にかつ優しく描いたアイデンティティーの映画なんですね。助演男優賞はまず最有力と思うのですが、後は何を獲れるかな?
「メッセージ」もSFなんですが、そこに留まらない人間のドラマになっています。「未知との遭遇」や「コンタクト」に近いと思うのですが、3作ともソニーの映画という共通項がありますね。エーミー・アダムズの落選が残念でした。
今回は「沈黙 サイレンス」や「ハドソン川の奇跡」はほとんど無視に近い状態となりましたが、もうハリウッドの世代交代は完全に始まっていることがよくわかるノミネート結果でもありました。本番ではどういう評価を下されるのか益々興味深いです。
posted by 編集局長 at 13:19| 日記

2017年01月20日

ネオン・デーモン

ひとつ、大きな変更があります。
21日発売のSCREEN3月号を読んでいただくと気付くかもしれませんが、私このたび、10年ほど務めた編集長を引退します。といいましてもまだ編集部にはおります。編集局長という肩書になりまして、編集作業を後方から支援することになります。引き続きよろしくお願いします。
ということで、このブログも「編集局長ブログ」にタイトル変更となりますね。
さて話変わりまして、この間、試写で見逃した「ネオン・デーモン」を劇場に見に行ったんですね。実は一度満員で入れなくて、日を改めて行ったんですが、なんでこんなに混んでいるのかよくわからなかったんです。で、ようやく見られた「ネオン・デーモン」、めちゃくちゃ面白かった……というより、こんな映画だったのか!といまさらながら唖然としました。ニコラス・ウィンディング・レフンの新作なのに、あまり賞レースにからんでいないなとか思ったら、これは賛否両論致し方なし!という内容だったのです。
人間性のかけらもないようなモデル業界に、野心も欲もなく飛び込んできた一人の少女。彼女がこの危険きわまりない世界で食い物にされてしまう(まさに文字通り)様を描いたこわーい映画で、主演のエル・ファニングがこれ以上ないはまり役ゆえ、無垢な彼女がどうなって、どうされてしまうのか、最初から最後までハラハラし通し。レフンが悪趣味なのか、ドSなのか、これでもかというくらいエルちゃんが大変な目にあわされます。基本的にファンタジー色も濃く、かなりモデル業界をデフォルメしているのですが、人間の美や若さに対する羨望や嫉妬、持つと持たざる者の悲喜劇をアート風に描いているともいえます。とにかくオチのグロさが評価のわかれどころかも。それゆえにヒットしているのか?と穿った見方もしてしまいました。
こういう残酷な目にあわされながらも、健気にがんばるエルが素晴らしかった。また元子役のジェナ・マローンの体当たり演技、ベラ・ヒースコートのヌードやキアヌー・リーヴズの非道ぶりなど驚かされることばかりでした。見ておいてよかった。
posted by 編集局長 at 17:45| 日記

2017年01月07日

今年の最初の1本

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。本年もSCREENをよろしくお願いします。
正月休みは暖かくてよかったですね。今年のおみくじは「吉」とでましたが、内容的には「果報は寝て待て」「無茶するな」的なもので、実はあまり良くないのですが、昨年の「凶」よりは良しとしましょう。
そんな中、今年最初に見た1本は「ヒッチコック/トリュフォー」でした。私でも持っているベストセラー映画書『ヒッチコック/トリュフォー 映画術』を映像化したドキュメンタリーですが、この英国とフランスが生んだ映画の天才二人のことを、もう知らないという人も多いんですよね。知らないというより、名前は聞いたことあるけど作品を見たことがないという方が正しいのか。
この映画では、特にヒッチコックの映画の魅力、優れた点、特別な点などを事細かに教えてくれます。ヌーベルバーグの旗手と言われた頃のトリュフォーは映画評論家でもあり、果敢にリスペクトすべきヒッチに数々の質問をぶつけます(テープの音声でやり取りが聞ける)。天才ヒッチは“職人”でもあるため、天才ゆえの高慢さなど見せず、一つ一つの質問に具体的に答えていきます。そこに生まれる映画の天才同士の友情が心地よいので、間に挟まれる10人の映画監督へのインタビューが邪魔なくらいです。
この間『午前十時の映画祭』でちょうど「めまい」を見たばかりだったので、特に「めまい」について二人が語るくだりは興味深く聞きました。トリュフォーはこの映画史に残る作品を『失敗作』だと思っているようで、彼の指摘も『確かに』と思えるところがあり、ヒッチもたじたじになるところが面白い!
そのトリュフォーも「大人は判ってくれない」「突然炎のごとく」「アメリカの夜」「終電車」など名作を残し、わずか52歳でこの世を去ってしまいましたが、その後も長生きしていたら、どんな名作を生み出してくれたかと惜しまれます。
映画を志す人にはぜひ見ておいてほしい一作です。
posted by 編集局長 at 14:42| 日記