2017年03月19日

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

昨年カンヌでパルム・ドールを取ってからずっと見たいと思っていたんですが、試写が始まったのが、オスカー候補作の試写の時期と重なって、そちらの作品群を優先して見ていたので、結局見そびれてしまい、公開二日目でようやく見ることができました。
その間に、もうストーリーの流れも、どんなシーンがあるかもわかってしまったので、あまり感動できないかなと思っていたんですが、これはそんな杞憂を吹き飛ばすくらい、しっかりした映画でしたね。ケン・ローチが一時発表した引退を撤回してまで撮りたかった作品ということで、どんなものかと思っていましたが、まさに入魂の一作。しかも英国の雇用支援金問題を扱ったシンプルかつストレートな物語で、彼はこれで何が言いたいのかひしひしと伝わってきます。彼がもっとも大切に思うのは一人一人の人間に尊厳があるということ。それをないがしろにする政府のやり方に真っ向から批判をしているのです。「もうタイムアップは近い」と。
以前、ローチが日本の高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した時、記者会見で彼を見たのですが、受賞を光栄と受け止めながらも、賞金を「国鉄分割民営化に反対した闘争団に寄付する」と宣言したのを聞いて、この人はとことん硬派だなと感じ入りました。そんな彼が80歳を目前に完成した本作は、まさに「これを言わずには死ねない」というような気概も感じられて、もしかしたら今までのローチ作品で一番好きかも?と思えました。必見です。
posted by 編集局長 at 20:14| 日記